SDGsが、国連が採択した「持続可能な開発目標 (Sustainable Development Goals)」の略称であることは前号でふれた。
ここでひとつ補足したい。
農林業に被害をもたらす野生獣の6割がシカとイノシシであり、捕獲によって300万頭生息しているといわれるシカと100万頭のイノシシを「絶滅」さえすれば被害はなくなる、とつい早とちりしがちだが、そのような「不可能」が求められているのではない。(シカやイノシシが絶滅する前に人間のほうが絶滅する公算大)。
捕獲が着実に進むと獣たちはヤバい人間界から遠ざかるようになり、人間の作物が得られなくても暮せるような生活圏を形成するようになる。「捕獲圧」である。ただし、そのままだとまた元の木阿弥(もくあみ)になってしまう。通路を遮断することが肝要である。
「美味しくいただく」ことは、「いのちに対する畏敬」と同時に、「持続性の維持」にかかわることでもある。「カタくてクサい」を卒業して、「健康や美容にいい」「夏シシもけっこう美味(うま)いぞ」となりつつある昨今だが、ここでちょっと脇道にそれたい。
まず、最近被害が目立ちはじめたハクビシン。茄子(なす)やスイカの被害が多い。大きめのネズミ捕りで比較的簡単に獲れるが、捕獲奨励金の金額が小さいため、つい違法な薬殺(毒饅頭)に走る。
中華食材店から「いくらでも買います」と言われているのだが。
つぎはサル。天武天皇の「肉食禁止令」(675年)には、牛、馬、犬、鶏とともに猿が取り上げられている。つまり食べられていた。つい最近、東京・志村に「猿鍋」を出す店が現れ、評判という。
最後にカラス。高級洋食店で早くから出されているが、捕獲という点では追いつかない。愚見では、きれいに美味しく調理してレトルトパックし、ODA資金で買い上げてもらって貧困・飢餓に苦しむ途上国に送れば、というもの。
ふと、SDGsはShikoku Delicious Gibiers の略称ではないかと思いついた。四国のジビエは美味しい(ハズだ)。
(2021年8月)