コロナ禍はいずれ下火になるだろう。それにつれてあらためてクローズアップされてくるであろうことは、資本主義社会の病状である。貧富格差・環境破壊・異常気象・・・。これらはすでにわれわれにとって身近かな課題となっている。もしこのまま放置するとするなら、20~30年後に、社会は大混乱に陥ってしまう。
さすがにこれはまずいと気づいた国連は2015年、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals = SDGs)を採択した。
念のため付言すると、こんにち、世界には資本主義以外の経済社会体制は存在しない。共産主義国家を標ぼうしている中華人民共和国の上海市に株式取引所があると知るだけでじゅうぶんだ。マルクスや毛沢東が知ったら仰天するにちがいない。
SDGs における基本姿勢は「発想転換」である。
そのうえで、貧困をなくそう、ジェンダー平等を実現しよう、人や国の不平等をなくそう、気候変動に具体的対策を、など17の大きな目標を掲げているが、その一つに、「陸の豊かさを守ろう」と題する項目があり、生態系の保護・回復および持続可能な利用の推進、森林の持続的な管理などが例示されている。
「ジビエ活動」は、野生鳥獣をスマートに獲って感謝しながら美味しくいただこう、という一連の活動のことである。
捕獲奨励金狙いの「にわか猟師」がやみくもに捕らえたシカやイノシシを証拠の尻尾だけ切り取って虐殺放棄する、奨励金額の少ないハクビシンには毒饅頭を仕掛ける、カラスに至ってはゴミ以下の扱いしかしていない・・・。これらがジビエ活動の対極にあることは申すまでもない。
ジビエ活動が良識派庶民による生態系保護の実践活動であることは明らかである。「捕獲」は、一見「保護」と矛盾するように聞こえるかもしれないが、人間も含めて、生態系全体からみると、補完性・持続性のある生存活動なのである。
(2021年7月)