市町村役場は忙しい。さまざまな届けを受け付けたり、住民票などを発行するだけで手いっぱいだ(?)。
そこに野生鳥獣駆除に全力で取り組めとお上(国)から指示があれば、さあ大変だ。ほとんどの役所が思いつくのは「猟友会に委託しよう」である。現場作業ならともかく、事務手続きに至るまで100%丸投げすることがけっこう多いというから驚く。
「猟友会」は都道府県ごとに結成され、市町村には支部があり、全国を統括する組織として「一般社団法人大日本猟友会」がある。

(1)「駆除」を志す場合、狩猟免許をもたない者は講習を受けてワナ免許を取得する。その際、猟友会への入会が勧められるが、必須条件ではない。この点はよく誤解されている。
(2)奨励金は捕獲獣の尻尾を証拠としており、切り取られた個体は止(と)めを刺したあと遺棄されるのがほとんどである。ただこれは明らかな法令違反であり処罰の対象となる。同じ役所内でも環境保護部署は知らんふりである。
(3)止め刺しのし方がすごい。虐殺である。本来の猟師であればそれなりの「命に対する敬意」をもっているし要領を心得ている。そもそもなるべく穏やかな終末を迎えてやらないと美味(うま)い肉が採れないということもある。
(4)奨励金の対象となる「駆除」は禁猟期(多くの地域では3月15日から11月14日まで)の間に指定されている。すると、期間を過ぎて手に入れたシカ・イノシシの尻尾を冷凍保存しておいて次の指定期間に提出するという賢い(?)者が現れる。

すべてが「お金」に発している・・・。
大日本猟友会の定款の冒頭に「本会は、狩猟道徳の向上に努め、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化を図り」とある。「狩猟道徳」という言葉が重い。会員であろうとなかろうと、自然を、命を尊ぶ精神の涵養をあらためて図るべきであろう。

(2021年6月)