180万年前に出現した原人たちは、40万年前には狩猟を始めていたという。

20万年前の旧人は獲物の皮を剥ぐ道具や技術を身につけていた。

10万年前に誕生した現生人類は、仲間で手分けして捕えた鳥獣類をあますところなく使いきっていた。

ずっとすっ飛んで10世紀ごろのフランスでは、狩猟は貴族の趣味となり、獲物(ジビエ=gibier)は無造作に食べられていた。

16世紀に入り、先進地イタリアのメデイチ家から、ど田舎王国フランスのアンリ2世に嫁いだカロリーヌ姫は調理器具・技術・食器・マナーなど一式を携えてきた。

その後ジビエは食材としての肉も意味するようになり、「ジビエ文化」が形成されていった。

時代も場所もさらにすっ飛んだ2013年、捕獲鳥獣をより安全・安価に美味しく食べてもらうための啓発組織「四国ジビエ連携(四G連)」が結成された。「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針」が策定・公布されたのは翌2014年である。

そして2018年、『広辞苑』第7版に「ジビエ」が初登場するに至る。――以上で「ジビエ40万年史」終わり。

食用肉および加工品以外の用途として、ペットフード、毛製品、皮製品、骨や牙を使った装飾品、骨髄エキスを抽出した調味料、

骨灰をセメントや美術磁器の原料として使う、などがある。

あらためて、日本で合法的に入手・利用できるジビエにどんなものがあるかを列挙する:

マガモ、コガモ、ヤマシギ、タシギ、キジ、山ウズラ(仏)、ライチョウ(英)、モリバト(仏)、パロンブ(仏)、ヤマバト、野ウサギ、穴ウサギ(仏)、ダマジカ(仏)、アカシカ(NZ)、フェロー(NZ)、エゾシカ、イノシシ、マルカッサン(仏)、サングリエ(加)、カンガルー(豪)、ラクダ(豪)。(NZ=ニュージーランド、加=カナダ) 

(2020年5月)