11月21日、フランス産赤ワインの一つボジョレー・ヌーボーの発売が解禁された。ボジョレーはある地域の名称、ヌーボーは試飲用新酒の意味である。もともと販売業者向けだったものが、一般消費者を対象とする大きなイベントに変身してこんにちに至った。

そうなると、今では「ヌーボー (nouveau 新造の)」それ自体が珍重されるようになり、味わいそっちのけのさわぎとなっている。

洋の東西を問わず料理と酒類の組み合せは大問題である。ただ、フランスは超別格だ。組み合せのことをマリアージュ(mariage 結婚)と言っており、つぎのような項目が示されている。

(1) 食材との色調を合せる、(2) 風味を合せる、(3) 足りない味わいを補う(脂濃い料理には渋みのあるワイン)、(4) こってり感・さっぱり感を合わせる。

ジビエ料理にとってワインは必須の伴侶である。

そこで日本のジビエとなる。食材も料理法も酒類も無数にあるうえに、未知のスリルも待っている。ローカルジビエにとって、またとないアピールチャンスの到来だ。

徳島での日本ジビエサミットをひかえた昨年末、ジビエ開発に力を入れている三好市の紹介で訪れた三芳菊酒造㈱に「ジビエに合う日本酒を造っては?」と勧めた。さっそく手がけた

同社は、

1月末のサミットに、イノシシ料理向けの『TUSK(牙)』と、シカ料理向けの『HORN(角)』(それぞれ500ml)を間に合わせた。

鳥取県は『ジビエ薬膳火鍋』を支援している。特産ラッキョウを使うなどの特徴づくりを工夫しており、健康志向にも合致している。これに薬酒が伴えば不敵の名物となるにちがいない。

ローカルジビエに飲み物の伴侶をお忘れなく。

(2019年11月)